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マニュアル作成テンプレート集。Excel・Word・パワポの使い分けと項目構成
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マニュアル作成テンプレート集。Excel・Word・パワポの使い分けと項目構成

目次

この記事の要点

  • マニュアルのテンプレートはExcel=一覧型・Word=文書型・PowerPoint=画面手順型と、業務のかたちで選ぶのが基本
  • 大企業の管理職200名への調査では、引き継ぎ資料の作成手段は「Word・Excelなどの文書作成ソフト」が46.0%で最多(株式会社taiziii調べ)
  • 3形式それぞれの項目構成を、そのまま使える表で提示。どの形式にも「判断の基準」欄を1つ足すのがポイント
  • 既存の業務マニュアル・手順書が「十分に整備されていなかった」という回答は74.0%。良くない資料の特徴は「情報が古い・誤っている」62.5%が最多
  • テンプレートを埋めても使われなくなる主因は、更新の停止・判断基準の欠落・検索性の低さの3つ
  • 形骸化を防ぐ運用は、更新担当と見直し時期の決定・置き場所の一本化・「考え方」欄をヒアリングで埋める手順の3点
加藤晃寿郎氏のプロフィール写真

運営者プロフィール

加藤晃寿郎(株式会社taiziii 代表取締役)。慶應義塾大学経済学部出身のエンジニア。在学中のスタートアップ設立、フリーランスを経てシステム開発会社を創業。企業のAI導入支援と、判断継承AIプラットフォーム「SkillRelay」の開発に従事。

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テンプレートが減らしてくれるのは、マニュアルを作る負担であって、更新する負担ではありません。当たり前のようでいて、様式を選ぶ段階では見落とされやすい前提です。

マニュアル作成のテンプレートを探すと、Excel用・Word用・PowerPoint用がそれぞれ大量に見つかり、どれを選ぶかでまず迷います。実態としても、引き継ぎ資料づくりの中心は今も専用ツールではなくOfficeソフトです。従業員1,000名以上の大企業に勤務する課長職以上200名を対象にした調査では、引き継ぎ資料の作成手段は「Word・Excelなどの文書作成ソフト」が46.0%で最多、専用ツールの利用は7.5%にとどまります。手元のソフトで作る以上、様式の設計は自分たちで決めることになるので、項目のそろった様式を見つけて全部埋めれば形になる、と考えたくなります。

埋め終えた後に何が起きるかは、同じ調査に出ています。既存の業務マニュアルや手順書が十分に整備されていたかを尋ねた設問で「不十分」という回答は74.0%、良くない資料の特徴の最多は「情報が古い・誤っている」62.5%でした。業務や画面が変わっても文書は追いつかず、古い記述に気づいた人から順に開かなくなり、結局はベテランに口頭で聞く対応へ戻ります。

選ぶべきものは形式だけではありません。手順の隣に迷ったときの線引きを書く欄があるか、埋めた後に誰がいつ直すのかが決まっているか。引き継ぎを経験した管理職200名が最も多く挙げた不足は、手順そのものではなく「イレギュラー時の判断の基準」(40.5%)でした。この記事では、3形式の使い分けと形式別の項目構成を表で示したうえで、埋めても使われなくなる理由と、形骸化させない運用までを扱います。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・本調査2026年2月24日〜3月6日/追加調査2026年3月16日) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/ (公開ページは調査の概要とダウンロード案内で、設問ごとの数値は同ページで配布のレポートに掲載)

Excel・Word・パワポのどれで作るかは業務のかたちで決まる

図解 Excel・Word・パワポの使い分け(読み手がどの場面でマニュアルを開くかを起点に選ぶ)

ソフトの優劣で選ぶ必要はありません。マニュアルにしたい業務が、一覧で管理する業務なのか、読んで理解してもらう業務なのか、画面を操作する業務なのかで、向く形式はほぼ決まります。

Excelは一覧型。業務一覧・チェックリスト・管理表に向く

Excelが向くのは、同じ形式の情報が繰り返し並ぶマニュアルです。

  • 担当業務の一覧表(頻度・期限・担当を1行ずつ管理する)
  • 作業のチェックリスト(実施順に確認欄を並べる)
  • 対応一覧・管理表(問い合わせの種別と対応方法の対応表など)

1行1件の構造なので、業務の追加や変更を行単位で直せます。並べ替えとフィルタで絞り込める点も、業務数が多い場合には利点です。一方、1つの業務について経緯や理由を文章で説明するのには向きません。セルに長文を詰めると読みにくくなるうえ、印刷や画面表示も崩れやすくなります。

Wordは文書型。業務説明・規程・引き継ぎ書に向く

Wordが向くのは、文章で読ませるマニュアルです。業務の目的や流れの説明、規程・ルールの明文化、判断の背景を残す文書など、見出しと段落で構成する内容に強い形式です。目次の自動生成や変更履歴の記録といった、長文の版管理に必要な機能もそろっています。

なお、担当交代のために特定の後任へ渡す文書は、マニュアルではなく引き継ぎ書という別の様式になります。不特定多数が繰り返し参照するマニュアルと違い、引き継ぎ書は特定の後任が担当を引き受けるまでの一度きりの文書なので、項目の立て方も別に考えます。

PowerPointは画面手順型。スクリーンショット中心の操作マニュアルに向く

PowerPointが向くのは、システムの操作手順をスクリーンショットで示すマニュアルです。1スライド1画面を原則に、画面の画像・操作の指示・注意点を1枚に収めると、読み手は自分の画面とスライドを見比べながら作業を進められます。画像の配置や矢印・枠の書き込みが文書ソフトより手早くできる点も、画面中心のマニュアルに合っています。

反面、文章の分量が多い説明や、頻繁に変わる一覧情報には向きません。画面が変わるたびにスクリーンショットの取り直しが必要になるため、更新頻度の高いシステムでは、誰がいつ画像を差し替えるのかを先に決めておかないと、資料が実際の画面とすぐ食い違います。

使い分けは読み手がその資料を開く場面から決まる

形式 向く業務 更新のしやすさ 主に見る場面
Excel(一覧型) 業務一覧・チェックリスト・管理表 行単位で直せるため高頻度の更新に強い 作業中に一覧で確認する
Word(文書型) 業務説明・規程・判断の背景の説明 章単位の改訂と版管理に向く 業務を理解するために読み込む
PowerPoint(画面手順型) システム操作・画面遷移の手順 画面変更のたびに画像の差し替えが必要 画面を操作しながら並べて見る

作業中に横目で確認するならExcel、着任時に読んで理解するならWord、画面を操作しながら見るならPowerPointです。1つの業務でも、全体像はWord、日々のチェックはExcel、システム操作はPowerPointと分担させる形が実務では自然です。

そのまま使える項目構成は読み手が求める5つの条件から決まる

読み手が資料に何を求めているかは、調査に出ています。引き継ぎを受ける側が理想とする資料の条件は「業務の全体像がわかる」が56.5%で最多でした。「要点がまとまっている」55.5%、「網羅的である」51.5%、「検索性が高い」43.5%、「フォーマットが統一されている」38.5%と続きます。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・2026年2〜3月実施) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

この5条件は、そのまま項目構成の設計要件になります。

  • 全体像を最初に置く
  • 要点を先に書く
  • 項目を網羅する
  • 探せる見出しを立てる
  • 様式をそろえる

Excel一覧型は1行1業務で7つの列を立てる

1行1業務(または1作業)として、次の列を設けます。

内容
業務名・作業名 1行で特定できる名前
頻度・期限 毎日・毎週金曜・毎月第3営業日まで、など
手順の要約 目安として3行以内。詳細は手順書やマニュアル本体へのリンク
判断の基準 イレギュラー時の線引き。どういうときに手順から外れるか、誰に確認するか
使用システム・保存先 使うシステムと関連ファイルの場所
担当・確認先 実施担当と、迷ったときに確認する相手
最終更新日・更新担当 いつ誰が最新化したか

一般的なテンプレートにない列が2つあります。「判断の基準」と「最終更新日・更新担当」です。どちらも、埋めた後にその資料が使われ続けるかどうかを分ける列で、理由はこの後の項と運用の章で説明します。

Word文書型は全体像を先に置く5章で組み立てる

読ませるマニュアルの章立ての例です。

内容
1. 目的と対象読者 このマニュアルが何のためにあり、誰が読む前提か
2. 業務の全体像 業務の流れ・年間スケジュール・関係部署を1〜2ページで
3. 業務別の説明 業務ごとに「手順」と「判断の基準」の見出しを対で置く
4. 用語集・よくある質問 社内用語の定義と、問い合わせの多い事項
5. 関連資料・改訂履歴 参照先ファイルの場所と、版の更新記録

読み手が求める条件の上位2つ(全体像・要点)は、Wordでは章の順序で満たします。冒頭に業務の全体像を置き、業務別の説明では要点を先に書きます。

パワポ画面手順型は1スライド1画面で組み立てる

スライド 内容
表紙 対象業務・対象読者・最終更新日
全体の流れ 工程の一覧。いま見ている操作が何番目かを示す
操作スライド 1スライド1画面。スクリーンショット・操作の指示・注意点
イレギュラー対応 エラー時・例外時にどう判断するか。問い合わせ先
改訂履歴 版・更新日・更新者

操作スライドは画面のどこを・どうするかを1枚ずつ示し、注意点は画面の画像上に書き込むと迷いません。忘れられやすいのがイレギュラー対応のスライドです。うまくいく場合の操作だけで終わるマニュアルは、エラーが出た時点で読み手の手が止まります。

どの形式でも手順の隣に「判断の基準」欄が要る

図解 どの形式にも「判断の基準」の置き場を作る(後任が最も求めた観点はイレギュラー時の判断の基準)

Excel・Word・パワポのどの形式でも、手順の隣には迷ったときの線引きを書く欄が要ります。Excelなら「判断の基準」列、Wordなら手順と対にする見出し、パワポならイレギュラー対応のスライドです。

前任者から教えてほしかった観点を管理職200名に尋ねた設問では、「イレギュラー時の判断の基準」が40.5%で最多、「業務の背景・目的」が38.5%で続きました。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・本調査2026年2月24日〜3月6日/追加調査2026年3月16日) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

手順そのものより、手順から外れる場面の判断が求められている、という結果です。テンプレートの欄でいえば、手順欄の隣に「どういうときに保留するか」「どこまでなら担当者の裁量か」「誰の承認が要るか」を書く場所が要ります。

担当者によって判断が分かれる業務では、複数の判断を平均して一本のルールにまとめません。条件が違えば適切な判断も違うためで、無理にまとめると、どの場面にも合わない中間のルールだけが残ります。「Aさんは検収前の案件では保留する」「Bさんは海外案件では先に法務へ確認する」のように、誰のどの条件での判断かが分かる形のまま残します。判断の基準欄は、統合せず帰属を保つという原則で書きます。

無料テンプレートは出発点にはなるが「判断の基準」欄が足りない

様式をゼロから設計する必要はありません。検索すれば、ビジネス文書のテンプレートを無料で配布するサイトが数多く見つかり、Excel・Word・PowerPointの各形式がそろっています。実務解説とセットで配布する例もあり、たとえばマネーフォワード クラウドの解説記事は、業務引継書の無料テンプレート17種と記載項目の解説を提供しています。

出典 マネーフォワード クラウド「【無料テンプレート17選】業務引継書の書き方」2026年4月27日更新 https://biz.moneyforward.com/work-efficiency/basic/2590/

配布テンプレートの使いどころは3つです。

  • 様式設計の時間短縮。列や章の立て方を一から考えずに済む
  • 項目の抜け漏れ確認。定番項目と自分の案を突き合わせる
  • フォーマット統一の出発点。部署内で同じ様式をそろえる土台にする

一方で、使い始める前に確認したい点もあります。

  • 項目の過不足を自業務に合わせて調整する。使わない欄が空のまま残ると、資料全体の信頼感が下がる
  • 「判断の基準」欄を持つテンプレートは少ない。迷ったときの線引きを書く列(または見出し)を1つ足す
  • 配布元の利用規約を確認する。商用利用や社内配布の条件はサイトごとに異なる
  • ダウンロードだけで止めない。置き場所と更新の担当を決めてから配り始める

テンプレートを埋めてもマニュアルが使われない3つの理由

図解 テンプレートを埋めて終わりにしない運用(更新・置き場所・判断の言語化の3点で形骸化を防ぐ)

項目を整えたマニュアルが、その後も職場で使われているとは限りません。調査では、既存の業務マニュアルや手順書が「十分に整備されていなかった」という回答が74.0%に達しました。マニュアルは存在するのに、いざ使う場面で役に立っていません。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・2026年2〜3月実施) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

最も多い不満は書き方ではなく情報の古さで62.5%を占める

良くない引き継ぎ資料の特徴を尋ねた設問では、「情報が古い・誤っている」が62.5%で最多でした。「情報が不足している」59.5%、「要点が不明確」51.5%が続きます。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・2026年2〜3月実施) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

テンプレートで軽くなるのは作成の手間であって、更新の手間ではありません。完成した時点の内容が最も新しく、業務が変わっても文書が追いつかなければ、実際の業務とのずれは広がる一方です。古い記述に気づいた読み手から順に開かなくなり、開かれない文書は更新の優先度がさらに下がる、という循環です。埋め終えた後に誰がいつ直すのかまで決めて、はじめてテンプレートは機能します。

埋まるのは手順欄までで「判断の基準」と「背景・目的」は残らない

テンプレートの欄がすべて埋まっても、埋まり方には偏りが出ます。手順・頻度・連絡先のような欄は本人が意識して実行している内容なので書き出せます。ところが「イレギュラー時の判断の基準」と「業務の背景・目的」の欄は埋まりにくいままです。本人にとって当たり前になっており、質問されるまで言葉になりにくいためです。調査で最も多く挙がった不足も、この2つでした。

実際、判断基準の言語化に組織としてどこまで取り組めているかを尋ねた設問では、「組織的な仕組みがあり、定期的に記録・更新されている」は16.5%にとどまりました。「一部の部署やチームでは取り組んでいる」が37.0%で、組織的な取り組みに至っていない回答は計46.5%と半数近くを占めます。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・本調査2026年2月24日〜3月6日/追加調査2026年3月16日) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

テンプレートに判断の基準欄を足しても、書き手任せでは空欄のまま残りやすいのが実態です。埋めるには、前任者に事例を挙げてもらいながら聞き取る手順を運用側に組み込みます。

探せないマニュアルは読まれない。求められているのは高度な検索

3つ目は、書いた内容に読み手がたどり着けない問題です。引き継ぎを効率化する新しいツールに欲しい機能を尋ねた設問では、「高度な検索」が58.5%で最多でした。「テンプレート機能」56.0%、「タスク管理」48.5%が続きます。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・2026年2〜3月実施) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

テンプレート機能より高度な検索が上に来ました。現場が困っているのは、作れないことより探せないことです。理想の資料の条件でも「検索性が高い」が43.5%で挙がっていました。フォルダの奥のどこにあるか分からないファイル、部署ごとに散らばった保存先、開かないと中身が分からないファイル名。内容がどれほど正確でも、探す段階で手間取るマニュアルは開かれず、結局はベテランに口頭で聞く対応へ戻りがちです。

形骸化を防ぐ運用は更新・置き場所・判断の言語化の3点に絞られる

調査では、引き継ぎについて会社に求めるサポートとして「マニュアル作成ツール」が47.5%で挙がり、「引き継ぎ期間の十分な確保」53.5%に次ぐ2位でした。作成と運用を支える仕組みへの需要は、データにも表れています。

出典 株式会社taiziii「業務引き継ぎに関する実態調査」(従業員1,000名以上の大企業に勤務する管理職200名・インターネット調査・2026年2〜3月実施) https://taiziii.com/knowledge-transfer-survey-2026/

次の3点は、専用ツールを入れるかどうかにかかわらず、Excel・Word・PowerPointの運用でそのまま実行できます。

情報の古さは気づいた人の善意ではなく役割で防ぐ

  • 業務またはマニュアルごとに更新担当を1名決める。「気づいた人が直す」は、誰も直さない結果になりやすい
  • 見直しのきっかけを2種類決める。業務や画面が変わったときの随時更新と、たとえば年度替わりなどの定期点検
  • 最終更新日と更新者を様式に含める。読み手は更新日を見て信頼してよいかを判断でき、点検日には古いものから順に見直せる

「最終更新日・更新担当」の欄が様式にあれば、更新の記録は作業のついでに残ります。運用の取り決めと様式は、この欄でつながります。

探せない問題は保存の仕方を決めておくと減らせる

  • 保存先を一つに決める。個人フォルダ・メール添付・共有フォルダに分散した時点で、どれが最新版か分からなくなる
  • ファイル名の規則をそろえる。業務名を先頭に置き、開かなくても中身と新旧が分かる名前にする
  • 目次と見出しを整える。Excelなら1枚目に業務一覧、Wordなら目次、PowerPointなら全体の流れのスライドを置き、キーワードで探せる粒度の見出しを立てる

「考え方」欄は書き手の自力ではなく質問役を立てて埋める

自分の判断は自分にとって当たり前になっており、人から質問されて初めて言葉になります。判断の基準欄を埋める手順は次の4つです。

  1. 質問役を決める。後任・同僚・上司など、その業務に少し距離のある人が向く
  2. 例えば30分ほどに区切り、手順ではなく判断を尋ねる。「この作業で手が止まるのはどういうときか」「手順どおりにしなかった最近の例は、いつもと何が違ったか」「何を見て問題なしと判断しているか」
  3. 口頭の答えを書き留め、条件と例外に分けて判断の基準欄へ転記する
  4. 判断が人によって分かれた場合は、まとめずに並記する。誰のどの条件での判断かを保つ

質問役の確保が難しい場合は、ヒアリングの聞き手と下書きの作成をAIに任せる方法もあります。AIが判断を決めるわけではありません。手順ではなく判断を尋ねる質問をAIから投げてもらい、返ってきた答えを条件と例外に整理した下書きにして、最後は人が確認して確定させる使い方です。

よくある質問

マニュアルはExcelとWordのどちらで作ればよいのか

ExcelかWordかは、業務のかたちで決まります。同じ形式の情報が繰り返し並ぶ業務一覧やチェックリストはExcel、業務の目的や流れを文章で説明する内容はWordが向きます。システム操作の手順ならPowerPointも候補です。1つの業務の中でも、全体像はWord、日々の確認はExcelのように分担させて構いません。

パワポで作るマニュアルはどんな業務に向くのか

PowerPointが向くのは、スクリーンショット中心の操作マニュアルです。1スライド1画面を原則に、画面・操作・注意点を1枚へ収めると、読み手は自分の画面と見比べながら作業できます。ただし画面が変わるたびに画像の差し替えが必要なので、更新頻度の高いシステムでは更新担当と見直し時期を先に決めておきます。

無料テンプレートをそのまま使ってもよいのか

無料テンプレートを出発点にすること自体は有効です。ただし使い始める前に、項目の過不足を自業務に合わせて調整すること、多くのテンプレートにない「判断の基準」欄を足すこと、配布元の利用規約を確認することの3点を済ませておきます。

テンプレートどおりに作ればマニュアルは使われるのか

テンプレートの欄を埋めただけでは、使われ続けるマニュアルにはなりません。調査では、既存の業務マニュアル・手順書が「十分に整備されていなかった」という回答が74.0%あり、良くない資料の特徴は「情報が古い・誤っている」が最多でした(株式会社taiziii業務引き継ぎに関する実態調査・管理職200名・インターネット調査)。更新の担当と時期、置き場所の一本化、判断の基準欄を埋めるヒアリング。この3つの運用まで含めて、テンプレートは機能します。

テンプレートは入口で運用と判断の言語化が本体

マニュアル作成の形式は、業務のかたちで決まります。一覧で管理するならExcel、文章で理解してもらうならWord、画面手順を示すならPowerPoint。項目構成は本文の表をそのまま使えます。

一方、調査データが示したのは、テンプレートを埋めた後の課題でした。資料への最大の不満は情報の古さであり、最も多く挙がった不足はイレギュラー時の判断の基準であり、欲しい機能の最多は高度な検索でした。埋めることは入口にすぎません。更新の担当と時期を決め、置き場所を一つにし、手順の隣の「判断の基準」欄をヒアリングで埋めていく運用が本体です。

マニュアルの完成度は、文書があるかどうかではなく、読んだ人が同じ場面で同じ基準で判断できるかで測ってください。手順の隣に判断の基準欄を1つ足した様式で始めれば、手順しか残らないマニュアルにはなりません。

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加藤晃寿郎

この記事の執筆者

加藤晃寿郎

株式会社taiziii 代表取締役 慶應義塾大学で経済学を専攻しながら、エンジニアとして在学中にコスメ系アプリ事業で起業。 上記起業を経て、再度在学中にシステム開発会社を創業。Webのフロント開発からバックエンド開発まで、あらゆるWeb開発、幅広く対応可能なオールラウンダーとして活躍。 大規模開発のためのエンジニアチームを持っているという特性も活かしながら、外部CTOとしても多くの企業の開発課題を解決してきている。 StockSunを含め複数社の事業新規立ち上げ、開発支援を行っており、ビジネス設計を含めた設計及び開発までワンストップで対応している。

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